2025年6月現在、スギ舌下免疫療法で初回の治療に使用する薬剤『シダキュア・スギ花粉舌下錠2,000』に出荷調整がかかっております。
このため、診察や検査をして準備をすることは可能ですが、処方しても薬をもらえない可能性があります。
舌下免疫療法とは
この治療法は、アレルゲンを少しずつ投与して体を慣れさせ、根本的な体質改善を目指すものです。ほかの治療が対症療法であるのに対し、ただ一つの根本的な治療と言えます。
免疫療法は、スギ花粉症やダニアレルギーの治療法のひとつですが、以前はアレルゲンを含む治療薬を皮下に注射する方法が取られていました。

近年登場したこの舌下免疫療法は、皮下注射と比べて安全性が高いため、注射にかわる治療法として広く行われるようになってきています。
現在日本では、スギ花粉症とダニアレルギーの症状がある人に対してこの治療法が用いられていますが、治療に際してはアレルゲンを特定する採血検査等が必要です。
また、スギ花粉症の治療として行う場合、スギ花粉が飛散する1月から5月には開始できません。症状のない時期に、早めに投与を始める必要があります。
舌下免疫療法の効果
個人差はあるものの、70~80%程度の人に効果が認められます。
アレルギー症状を完全には抑えられない場合もありますが、症状が和らぐので薬を減らすことが可能です。
人によっては、長期間にわたってアレルギー症状が出なくなることもあります。
注意すべきこと
- 舌下免疫療法は3年~5年の間、治療を毎日続ける必要があります。
3年未満で中断すると十分な効果が得られず、場合によっては副作用だけが出て逆効果となることもあります。 - ごくまれではありますが、アナフィラキシーショックなどの副作用が起こるおそれがあります。
- 当院での舌下免疫療法は12歳以上が対象です。
- 初回投与の際は、服用後にアレルギー反応が起きないかどうか、対面診療が必要です。
院内で30分間経過観察をします。
このため、午前は11時、午後は17時までに来院してください。
(副作用がなく、状態が安定している方の場合は、2回目以降はオンライン診療を行って処方箋を出すことも可能です。また他院で既に治療を開始している方は継続治療もお受けしています。)
主な副作用
- 口内炎や舌の下の腫れ、口中の腫れなど
- 咽頭、喉頭(のど)のかゆみ
- 皮膚のかゆみ
- 頭痛
- アナフィラキシー
治療開始時期について
スギ花粉症の治療として行う場合は、症状や副作用が強く出るおそれがある花粉飛散時期(1~5月)を避け、6月以降に行います。
ダニアレルギーの治療として行う場合は、いつでも開始できます。
治療の流れ
- 電話またはインターネットで予約「舌下免疫療法希望」とお伝えください
- 問診・診察
- 採血
- 採血にて、アレルギー症の診断と、他のアレルギー反応(ハウスダストなど)の有無の判定を行います
- 検査結果は約1週間後にわかります
- 他院で既に検査を受けている場合は、検査データをご持参ください
- 次回日の予約
- 薬の処方(初回は院内で処方)
- スギ花粉症→スギ花粉減感作療法薬(シダトレンまたはシダキュア)
- ダニアレルギー症→ダニアレルギー症花粉減感作療法薬(ミティキュア)
- 舌下に投与
- 院内にて30分間安静に過ごす
- 30分経過後、再び診察
- 副作用がないことを確認し、今後の治療方法について説明
1日1回、少量の服用から始め、少しずつ量を増やします。
その後は1日に1回、毎日同じ量の薬を舌下に投与していただきます。
受診は1〜3か月に1回(オンライン診療を行って処方箋を出すことも可能です)、3年から5年ほどの継続が必要です。
治療にかかる費用(3割負担の場合)
- アレルギー検査:初回に5,000円~6,000円程度
- 受診1回あたり:3,000円程度(診察費・薬代)