肥満の治療について
体重を減らしたい・・・。
しかし、そう簡単に行かないのが肥満治療です。
肥満の苦しみを分かってもらえない・・・。
なかなか周囲の理解を得られないのが肥満治療です。
肥満は現代社会が作り上げた病気でもあります。現代社会に生きている限り、長年慣れ親しんだ生活習慣を変えることは、そう簡単なことではありません。「食べる」という行為は、人それぞれの心や生活背景に深く根付いているものですので、とくに肥満の方が「自分でコントロールできない」ということは、けっして「努力が足りない」だけでは片付けられません。
当院では、管理栄養士による食事指導、運動指導に加えて、内服治療、注射治療も行っています。薬物治療はあくまで補助的なものであり、食事や運動などの生活習慣改善が基本であることは間違いありません。
下記治療は食事療法、運動療法を頑張っても減量ができない肥満症の方を対象に、治療がきっかけとなってより減量に積極的に取り組めることを目的としています。継続的に薬物治療を行っていくのではなく、減量に成功したら徐々に薬を減らしていき生活習慣のみで体重を維持できるように一緒に頑張りましょう。
- 食事療法
- 運動療法
- 薬物療法
- 手術療法
GLP-1 受容体作動薬
・セマグルチド 内服薬 リベルサス
・セマグルチド 注射薬 オゼンピック ウゴービ
・リラグルチド 注射薬 ビクトーザ サクセンダ
GIP/GLP-1受容体作動薬
・チルゼパチド 注射薬 マンジャロ
※現在肥満症治療薬は安全・適正使用の観点、出荷調整の観点から処方できない治療薬があります 。 また当院では薬物治療の適応のない「美容目的」の処方はできかねます。 GLP-1 受容体作動薬やGIP/GLP-1受容体作動薬を含む薬物治療の適応は、BMI 25kg/m 2 以上の肥 満症であり、普通体重や低体重など適応外の体重者に対し美容・痩身・ダイエット等の目的で使用する 薬剤ではありません。 日本肥満学会の肥満症治療薬の安全・適正使用に関するステートメント
http://www.jasso.or.jp/data/Introduction/pdf/academic-information_statement_20231127.pdf
減量・代謝改善手術は、保険収載されている「スリーブ状胃切除術」が選択されています。
この手術により、胃の一部が切り取られ、袖状に形成されることで食事量の制限が可能になります。
【手術の対象者】: 18歳から65歳までの対象者がいます。 BMI 35以上の原発性肥満で内科的治療が十分でないか、BMI 32.5~34.9で糖尿病や他の合併症がある場合が該当します。
合併症には糖尿病、高血圧、脂質異常症、閉鎖性睡眠時無呼吸症候群が含まれます。
【フォローアップ】: 術後も定期的な通院が必要であり、生活習慣や栄養状態に注意が払われます。 減量の経過が定期的にモニタリングされます。
肥満と肥満症
肥満はBMI(体重(kg)÷身長(m)÷身長(m))が25以上の状態です。
本邦でも食生活の欧米化にともない肥満人口は増加しており、厚生労働省の令和元年(2019)「国民健康・栄養調査」身体状況及等に関わる調査結果によると、日本人の肥満(肥満の指標であるBMI≧25 kg/m2の人)の割合は、男性33%、女性22.3%に上ります。
肥満が原因で糖尿病、脂質異常、高血圧、脂肪肝、睡眠時無呼吸症候群、腎障害、関節障害、月経異常(不妊症)や、さらに冠動脈疾患や脳血管障害などの重篤な合併症をもたらす可能性があります。
このように肥満により健康障害(糖尿病、脂質異常症、高血圧など)を引き起こしている場合、「肥満症」と定義され、積極的に減量指導・管理することが推奨されています。
肥満治療はこのような方におすすめ
・直近で急な体重の増加が見られている方
・ダイエット後にまた太るなど、リバウンドを何度も経験している方
・継続的な運動ができず、効果的な運動の方法が分からない方
・肥満について相談できる人がいない方
・内臓脂肪が多く腹部の膨らみが気になる方
・お腹の周囲が90cm以上ある女性の方
・お腹の周囲が85cm以上ある男性の方
・生活習慣病を治したいと考えており、BMIが25以上の方
・脂質異常症や糖尿病などの生活習慣病と診断された方
肥満・肥満症の治療の重要性
肥満は、脂肪組織が体内に過剰に蓄積した状態です。
体重の増加は日常生活でよく経験すること。
過剰な脂肪の蓄積は、
高度肥満者は社会的問題や精神的問題を抱えていたり、うつ病、
治療の流れ
※ヘルスケア外来における薬物治療は普通体重や低体重など適応外の体重者に対し美容の目的で使用する薬剤ではありません。
1.初診の予約
①電話またはインターネットで予約「ヘルスケア外来(肥満治療)希望」とお伝えください。
対面診察には自費診療として初診料が発生するため、実際に診療を受けるかどうか、受診前にお電話でご相談することが望ましいです。
予約時に電話番号とメールアドレス、ご連絡のつながりやすいお時間帯をご入力ください。
2.初診受診日
①問診・診察
②採血+採尿
問診・診察・採血にて、肥満に起因ないし関連する健康障害の有無の判定を行います。
他院で既に検査を受けている場合は、これまでの検査データをご持参ください。
※肥満に起因ないし関連する健康障害の例
1)耐糖能障害(2 型糖尿病・耐糖能異常など)、2)脂質異常症、3)高血圧、4)高尿酸 血症・痛風、5)冠動脈疾患、6)脳梗塞・一過性脳虚血発作、7)非アルコール性脂肪性肝疾患、8)月経異常・女性不妊、9)閉塞性睡眠時無呼吸症候群・肥満低換気症候群、10) 運動器疾患(変形性関節症:膝関節・股関節・手指関節、変形性脊椎症)、11)肥満関連腎臓病
③次回受診日の予約
3.再診(2回目)
当院の看護師が使用方法の説明を行った上、薬の処方をします。(処方薬のお渡しは、診療室内でいたします。)
4.再診(3回目以降)
投与開始後は栄養相談を含めた適切な食事療法・運動療法を継続し、定期的に体重、血糖、血圧、糖質の確認を行いながら治療を行います。
定期的な評価の目安
・食事療法・運動治療法の栄養相談を行います。
・投与開始3か月間は毎月、それ以降は3カ月に1回、体重、血圧、採血を行います。
・一定期間治療を行った後、目標を達成したら一度薬物治療を中止します。
・中止後に肥満症の認められた場合は、必要性について十分に検討し投与再開が可能とされています。
治療にかかる費用
初診料+採血+採尿 | 8,300円 |
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再診料+処方薬の費用 | 750円+処方薬の費用 |
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